2011年1月9日日曜日

柔術教師

例によってご無沙汰しています。

しばらくここで連載していたタイトル「柔術、どれぐらいやってるんですか?」ですが、
実はトライフォース青山のブログで、その答えらしきものを書いてしまいました(笑)。

埼玉県和光市の体育館でワタシが柔術クラスを始めることになり、
その告知用に、主に柔術道場の方を対象にして書いた文章なのですが、
以下にほぼ同内容のものを転載いたします。

次の機会に、ブログの連載タイトルも変えねば。

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このたび、埼玉・和光市総合体育館(http://www.konamisportsandlife.co.jp/trust/wako/)で柔術講座を受け持つことになりました、トライフォース青山の茶帯、藁谷です。

石川先生がご厚意で「ブログで紹介するから」ということで、講座の詳細をお知らせします。

場所は和光市総合体育館(和光市広沢3-1/TEL048-462-0107)で、年明け1/8(土)からスタート。
毎週土曜日16:30~17:30、1クール3カ月12回(3カ月後も延長できます)、税込1万2千円です。

という時間や場所だけ書いて送ったら、もっと書いてほしい…ということで、ちょっと長めの文章を書かせていただきます。

まず、簡単な自己紹介から。
私、藁谷はトライフォース麹町(現・青山)に入会して約2年半、茶帯に昇格して1年です。
麹町の前は、他の柔術道場に約3年間在籍していました。
さらにその前は、サンボや高専柔道をやっていました。

今回の指導の話は、妻の職場の関係で私個人に直接来たものであり、「トライフォース和光(TFW)新設!」ということではなく、単に「ブラジリアン柔術講座」を藁谷個人が受け持つという形式になります
(石川先生からは「何でも協力する」とありがたい言葉をいただいています)。
恐らく公の施設が運営するブラジリアン柔術講座というのは、まだ全国でも珍しいのではないでしょうか。

そして、私自身、柔術の指導を受け持つのは、今回が初めてとなります。
もちろん、青山でも頼まれて足関などを教えることは時々あります。
でも、単に時間内にその技を教えて出来るようにするだけでなく、
生徒さんが楽しく続けられて、柔術が上手く強くなっていくように一からプログラムを考えていくのは、かなりステージが異なると感じています。

前に石川先生からは「指導をやると、上手くなる」と言われたことがあります。
他人に伝えるためには、細部まで体の動きが論理的でなければならないわけで、そこで技の理解が深まるのは今まで実感してきました。
でも、これはさらに一段階上の何かが待ち受けているのでしょうね……(まだ「予感」です)。

人に教えることとは、どういうことなのか。
そう考えると、自然と自分の来し方を振り返ってしまいます。

私はトライフォースにいる多くの道場生の方とは少し違う道を辿って来たかもしれません。
結論から言うと、私は長い間、「柔術」というよりも、「寝技」を嗜んできました。
ある程度、寝技に特化した練習を私が始めたのは1996年の春、高専柔道を現代に受け継ぐ寝業研究会だったということもあるでしょう
(当時はちょうど日本に初めて柔術道場が出来た頃でした)。
数少ない寝技中心の乱取が出来るところであれば、柔術でも柔道でも高専柔道でもサンボでも総合の道場でも、喜んで行きました。
寝技が好きで、寝技が出来るところなら、いろいろルールやスタイルは違っていたほうが面白いと思っていました。
初期の柔術家たちは、そういう方は他にもいましたね。
パラエストラの昼柔術にもよく行かせていただきましたし、そこで現在のトライフォースの各先生方とも出会っています。

青帯の後半ぐらいまでは柔術道場に所属することなく、あくまで私自身は(柔術ルールの)「寝技」をやっているという感覚でしたね。
もっとも、紫帯ぐらいからは柔術以外の道場に行くことはほとんど無くなったので、今はもう完全に「柔術」という意識になっていますが。

なので、多くの生徒さんのように、道場に行って、毎回先生から技を三つ四つ習って……ということは、しばらく経験してきませんでした。
サンボや高専柔道で学んだ技の他は、柔術や柔道のビデオ(DVDではなく)や技術書(雑誌の技術企画含む)などを見て、自分で勉強していましたね。

それはメリット、デメリットあると思います。

メリットでいえば、人から技を与えられないので、常に自分で考える癖がつくのではないかと。

たとえば、昔、よく柔術界には「柔術は力が要らない」と言う人たちはいましたし、スパーしてても「もっと力を抜け」とか言う人たちがいました。
しかし、そんなことは全く重要ではないと、私はずっと思っていました(この辺のことは過去に原稿にも書きました)。
それは、柔道やサンボ、グラップリングなど他の格闘技のように、私は柔術も全く同じ「スポーツ競技」としてフラットにとらえていたからです。
逆に、人の体を制する技術の考え方自体に、そんな大きな差があったらおかしいです。

私自身は強さ弱さでいえば、茶帯のほうでも下の部類です。
ただし、私のようなスタイルの人はあまり他に見当たらないのではないかと思います(笑)。

そのおかげで、陰で批判されることも多々ありましたし、今でもないわけではないようですが、それは仕方ありません。

デメリットでいえば、その分、技にかなり偏りが出てくること。

なので、たとえば当初、麹町の「基礎クラス」に、紫帯や茶帯になって出るのは恥ずかしいという気持ちもちょっぴりあったのですが、実は出てみると初めて知ることも多かったりしますし、今でもけっこう新鮮な気持ちで臨んでいることは告白しておきます(笑)。

さて、これから私が和光市で教える生徒さんは、たぶん私とは異なる道を進むことになります。
基本的に、本当の初心者ばかりが集まることでしょう。
いや、そもそも人が集まるのか不安ではありますが……、それはさておき。
今回の講座では、技自体はトライフォースで学んだものを中心に、自分が考える基本というものを伝えていくことになります。

人はどのようにして強くなるのか。
人はどのようにしたら、楽しみながら続けていけるのか。
教える側も模索しながら、指導していくことになります。

そして生徒さんの中から、週一回の講座では飽き足らず、「毎日やりたい」という生徒が出てきたら、嬉しいですね。
トライフォースでやるのがベストですが、別にアクセスが良い近くの道場でもいいと思います。
そういう生徒さんが出てくるのを、とりあえず最初の目標にしておきます。

柔術は、寝技は楽しいです。中毒になります。
私自身、仕事や生活環境の変化で、2度ほど約2年間ずつ休んだことがあります。
でも、その都度、またやりたくなって復活しました。
ブランクは大変ですが、それでも立ち技ほどの大変さではないですし、ロールすればまたぞろ脳内麻薬が出てくるのは、みなさん御承知の通り。

人生、嵐のような大変な時期はきっと誰にもあります。
でもそういう時期は焦らなくてもいいし、きっと柔術は人生を通してゆっくりと、じっくりと関わっていけるもの。
そんな柔術の愉しさも、私が伝えるといったら意気込みすぎですが、自然と伝えられたらいいなと思います。

最後に。
このブログの読者はトライフォースの会員さんがほとんどだと思われますが、もし和光市周辺にお住まいの白帯の方、「土曜日ぐらい、家族もいるので近くで練習したいな」という方などおりましたら、ダブルスクール感覚で和光市総合体育館に来てみてはいかがでしょうか(笑)。
というお誘いで、この稿を締めます。